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なぜ肥満は健康に悪いのか?

肥満で何が悪い?!


 こんにちは、ドクターしょこたんです。
 今回は、「なんで肥満が悪いの」と思っている人も多いかもしれません。肥満になると何が悪いのか?ということについて、医学的見地から説明していきます。
 あなたは、肥満はなぜ体に悪いと思いますか?改めて聞かれるとよくわからない人も多いのではないでしょうか?
肥満とは脂肪細胞がたくさん蓄えられた状態です。数も変わりますが、大きさも大きくなります。肥満した時、顕微鏡で観察すると脂肪細胞の大きさが大きくなっていますが、大きくなるには限界があり、数も増えていると言われています。
(脂肪細胞はそもそも白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞に分けられますが、肥満で問題となるのは主に白色脂肪細胞ですのでそれを重点的に説明します)
単純に白色脂肪細胞は悪者なのかというと、そういうわけではありません。
最近は、白色脂肪細胞はただ脂肪を溜め込む組織というだけでなく、脂肪から体のバランスを保つための色々な物質が分泌されるということがわかってきました。これはエネルギーの放出と溜め込みのバランスを司っています。つまり、適度な脂肪は生きるために必須なものなのです。

適度な脂肪は必要だが、量が多すぎると都合が悪い


 白色脂肪細胞から分泌される物質は、脂肪細胞が大きくなってくると分泌が低下すると言われています。また、他のホルモンのバランスも制御している(ホルモンを分泌させる、逆に分泌を下げる指令を出すことによって調整している)視床下部がこの白色脂肪細胞の制御に関連していると言われており、複雑な機構が働いています。
そして肥満の状態になると、先ほど話した調整する働きをする視床下部に炎症が起こります。すると、インスリンという血糖値を下げるホルモンや満腹を感じるホルモンが効きにくくなります。そして、肥満の状態になると脂肪細胞の周辺にも炎症が起こると言われています。またこの炎症は他の遠い臓器にも少しの炎症を起こすと言われていてそれが色々なはたらきに影響を及ぼすと考えられています。
ちなみに炎症というのがあまりイメージつかない方もいるかもしれませんが、「炎症」とは、例えばインフルエンザをひいている時を想像してください。インフルエンザウィルスが入ってきて、インフルエンザウィルスが増えると、くしゃみ、鼻水、咳、そして熱が出ますよね。あれはウィルスを体の細胞がやっつけたり外に出そうとしているから反応が出るのですが、その「体の細胞が起こしている反応」が炎症です。このような炎症が、(本人は自覚していないまでも)肥満の時も起こっていると考えられています。

つまり、「肥満状態とは慢性的な炎症状態である」のです!!これが肥満が健康に悪い理由です。
実は、肥満で「ついつい食べすぎてしまうのは自分の抑制する力がないからだ」と思う方もいるかもしれませんが、このように炎症が起こっていて、普段なら満腹を感じる働きが鈍っていたり、血糖値のコントロールがうまくいかなかったりしているせいもあるのです。

実は大丈夫な肥満と、危ない肥満がある!


実は肥満には脂肪のつき方によって大きく2種類に分かれ、なおかつ大丈夫な肥満と危ない肥満に分かれるのを知っていましたか?
脂肪がつく場所によって、皮下脂肪と内臓脂肪と変わってきます。内臓脂肪の方が厄介で、内臓脂肪はインスリン抵抗性(つまりインスリンが効きにくくなっている)からの2型糖尿病や、心血管系の病気が関与すると言われています。皮下脂肪はこれらの病気との関連は薄いです。女性の方が比較的皮下脂肪がつきやすいと言われていますが、やはり脂肪の量が増えてしまうと内臓につくことがあります。

おそらく今までは「肥満は悪いらしい」で減量していた人もいたと思いますが、ぜひともこれらの知識をうまく活用して、肥満をコントロールしていただきたいです。肥満の話については今後もお伝えしていきますのでお楽しみに!

参考文献:「脂肪の量と質を制御する」 実験医学2018年10月号 羊土社

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