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女医が教える食物繊維のとり方

食物繊維とは何か


 こんにちは、ドクターしょこたんです。
 今まで、腸内細菌に良い食事の総論をお伝えしてきました。ここからは具体的に日常の食事に取り入れるためにオススメの成分とその効果をお伝えしていきます。
 「プレバイオティクス」として腸内細菌の餌となる重要な物質は「食物繊維」です!「食物繊維をとりましょう」とよく言われますが、一体どういうものなのでしょうか?
まず食物繊維は、炭水化物の1つです。三大栄養素と言われる炭水化物は、糖質と食物繊維を足した値になります。炭水化物とは、糖を構成成分とする物質です。糖とは、例えばブドウ糖などいろいろありますが、糖が入っている食物繊維も炭水化物の1つなのです。
食物繊維の定義は、「消化酵素で消化できない植物細胞壁成分(つまり、植物の細胞における一番外側の成分)」と、定義されていました。今は研究が進み、いろいろな検討が加えられていますが、実は食物繊維というものが広く認知される前から、その可能性に注目した人たちがいました。アフリカ人が食物繊維を多く食べているために、西洋の食事を食べているアメリカ人に比べて便のかさが多く、腸の通過時間が早いということを、1970年代にバーキット医師とトローウェル医師が発見しています。便秘対策だけでなく、具体的な病気と食物繊維摂取量の関係を解き明かすための研究が進んでいます(文献1)。
(画像13-2-1)

食物繊維のメリット


 食物繊維には以下のようなメリットがあると言われています。
・炭水化物や脂質の消化吸収を緩やかにする
・コレステロールを低下させる
・便通の改善
・血糖値の上昇を抑制させる

 有名な便秘改善以外にも、炭水化物や脂質の消化吸収を緩やかにすることによって血糖値やコレステロールの急上昇を抑えたり、満腹感が出たりします。また、最近出た有名な論文では、食物繊維摂取量が一番多かった群と一番少なかった群を比べると、全ての死亡と心臓が原因の死亡が15-30%減少すること、また心臓の血管の病気、2型糖尿病、大腸ガンの発生が減少しました。また、食物繊維摂取量が一番多かった群では体重も一番少なくなるという結果になりました(文献2)。

食物繊維の目標摂取量


 ではどれくらいの量の食物繊維をとれば良いのでしょうか?
 厚生労働省の推奨する目標量は、18~69歳では1日あたり男性20g以上、女性18g以上とされています。ちなみに欧米では、1日あたり30g以上が目標量と言われていますし、先ほどご紹介した研究でも、1日25-29gくらいが理想と書いてありましたのでこれらの値を参考にすると良いと思います。
 なお、食物繊維を多くとりすぎると逆に下痢になるひともいるようですが、よっぽどサプリメントなどで過剰摂取しない限りとりすぎにはならないと思うので、あまり心配しなくて大丈夫です。食物繊維をぜひ、いつもの食事で意識していきましょう!

文献1:日本食物繊維学会監修 「食物繊維 基礎と応用 第三版」第一出版
文献2:A. Reynolds, et al. Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analysis. Lancet. 2019; 393:10170, p434-445

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